事前課題_koheiTOKUNAGA
00_自己紹介
はじめまして!
九州大学大学院の徳永孝平です。
これから一ヶ月お世話になります。
まずは私を参加者として受入れて頂き、ありがとうございます。
最初に簡単な自己紹介をさせて頂きます。
私は佐賀県に生まれて九州大学を卒業し、現在は九州大学大学院に所属しています。
私は「新進気鋭の先輩方や、同世代のライバル達と同じ空間を過ごしたい」と心から想っています。
そこで生みだされる建築への興味はもちろんですが、もっと、その建築をどのような「人」が生み出しているかということに興味があります。
私は、初めての人と出会うのが好きです。
日本とは全く違う環境に身を置くということは、これから会う人がすべて「初めて出会う」ということだと思っています。
サマプロ期間中は社員さんと真剣に議論ができる関係を築き、同世代の参加者とも互いに刺激ができるような仲間になりたいと思っています。
皆様、どうぞよろしく御願い致します。
趣味、特技、好きな科目等定番の項目はまた今度書くとして...
今日は建築的な事を紹介します。
B3〜M1のプロジェクト
私の中で重要なテーマが2つあります。
・建築を構造と一体的に考えること
・建築と社会の接続の仕方を考えること
建築の「モノ」としての力強さ、美しさ、楽しさと、建築が地域社会と関わっていく「コト」としての重要さを強く意識しているのでそう思っています。
建築のありかたは刻々と変化していきます。
常識を疑い、建築や都市の新しさについて考えつづけたいと思っています。
01_課題の概要
それでは事前課題の報告です。
身近なコンバージョン事例ということで
私は九大のキャンパス付近で、しかも九大生が地域社会に入り込んで
用途転換、設計、施工をした事例についてフォーカスしました。
九州大学・九州大学大学院の学生達(糸島空き家プロジェクト)によって
地元商工会と学生の交流を目的として
コワーキングスペースへと改修した事例です。
外観/南側_after
外観/南側_before
02_敷地について
九州大学のキャンパスが糸島市に移転し、低容積から高容積の街へと日々変化しています。
キャンパスは平成30年に完全移転する予定で、この状態はこれからも続いていくと予想されます。
大学が地域を経済的に活性化させている事実とは裏腹に、残念ながら地域のコミュニティに対しては積極的な関係を築けていません。地域と学生を本当の意味で接続し、この地域特有の「空き家」というコンテクストで学研都市としての新しいまちづくりを
推進しようとしたところにこのプロジェクトの面白さがあると思っています。
敷地は福岡県福岡市西区元岡です。
余談ですが福岡県からは東京よりも上海への方が近いんです!
航空券を予約した時にびっくりしました。1時間で着くんですね。
これぞキャンパスのお膝元。
九大学研都市駅とキャンパスの間に位置しています。
キャンパスは山を切り開いて計画されています。
上空から見れば敷地からキャンパスへは直接アプローチできそうできそうですが
実際は山に遮られ視覚的にも繋がっていません。
周辺環境とのスケールの違いが分かりやすいですね。
03_基本データについて
基本的な仕様は下記の通りです。
古民家の長屋門の改修・用途転換ですので比較的規模が小さいプロジェクトです。
名称/ Co-working cafe がやがや門
竣工年/ 2012年
設計担当/ 糸島空き家プロジェクト
敷地面積/ 87.2㎡
建築面積/ 248.1㎡
延べ床面積/ 131.5㎡
建ぺい率/ 35.2%
容積率/ 53.0%
緑化率/ 11.2%
駐車台数/ 2台
04_空間について
構造体はほとんど既存のまま残しています。
コストの影響が大きかったと思います。
しかし低コストの厳しい条件下でも、外観は漆喰や焼き杉で土壁を補修し記憶を継承するように美しく甦らせています。(冒頭の外観before_after)
2階サブスペースA_before
2階サブスペースA_after
長屋門の空間特性を活かした断面計画を行っている点は大きな魅力です。
特に2階は天井高がかなり低い。
メイン土間空間_before
メイン土間空間_after
既存の構造体は残していますが、木材にはウォルナット系の塗料で落ち着いた印象にまとめてます。
また採光のために部分的に窓をあけたことも効いてますよね。
照明については梁下に計画。
低コストながらレール付きの照明はカフェ主催のイベントによって人の増減が激しいメインの土間空間に対して非常に効率的です。
2階サブスペースA,B_before
2階サブスペースA,B_after
2階部分は、土壁を除いて連続した空間としつつ床レベルを断続的に変化させ、それによって空間の用途をゆるやかに規定しています。
これは伝統的な和風建築での床への関心に通じるところがあります。
真摯に建築自体の魅力を活かした非常に好感のもてる設計です。
05_業態について
糸島空き家プロジェクトは学生の手による空き家再生サークルです。
糸島を楽しみたい、実際に建築を建てることができるというモチベーションで学生は活動し、研究助成金や研究委託等で資金を集め、自らの金銭的な利益は生まずに余剰ストック活用していっています。
学生はこれ以上ない勉強の機会として捉え、空き家のオーナーや行政側も低コストで余剰ストックを活用できるというwinwinの関係性を築いています。
彼らは糸島の空き家を利用して、 学生による糸島らしい暮らし方を考えています。
①学生の実践的教育
②空き家活用
③学生の新たなライフスタイルの提案
④地域を愛する人を一人でも増やす
※HPを参考_https://sites.google.com/site/itoyaproject2011/
06_室面積と寸法について
長屋門の門型ヴォリュームという大きな空間特性があります。1階はインテリアが2分割されています。
1階西側には地域との接続拠点である土間空間を最も大きく33.6㎡で計画しています。
動線については規模は小さいですが
・門をくぐって母屋で営業している個人塾へ行く学生
・カフェの利用者
・カフェの営業者
で分離しています。
一方で2階は一体的で長方形平面をしていますが、
床のレベル差によって1階のグリッドを参照し、三分割の空間構成としています。
土間の天井高は2,635mm、和室の天井高は1,350mmと
狭い空間に積極的に強弱を与えています。
断面計画では、人の集まり方を注意深く考えています。
立ち寄る、雑談する、会議をする、休憩する、等様々な集まり方に対応できるようにしています。
土間空間メインスペース/開かれた場所でカフェとして、くつろいでも、勉強してもいいような空間
サブスペース/ソファもあり、時には隠れ家のような場所になってます。小さな会議にも使われています。
休憩スペース/畳敷きで、天井の低い、屋根裏のような場所です。寝転んだり、雑談したり自由に使うことができます。
07_まとめ
コンバージョンには建築の記憶と地域の愛着を継承する必要があること。
またそれには地域を巻き込んでいく大きな可能性があることを感じました。
このことは規模の大小に関わらずに言えることだと確信しています。
08_リンク
下記にがやがや門を計画した「糸島空き家プロジェクト」コワーキングカフェを運営している「コワーキングカフェがやがや門」 のFacebookページです。
彼らの活動を是非ご覧になってください!
糸島空き家プロジェクト:https://www.facebook.com/itoyaproject
コワーキングカフェがやがや門:https://www.facebook.com/KowakingukafeGayagayaMen
P.S. 資料を提供頂いた糸島空家プロジェクトのみなさんありがとうございました。